縞スレキについて

昭和初期(戦前)のビンテージスーツを見ると、

ジャケットの袖裏やトラウザーズの腰裏に縞(しま)模様の裏地が使われているものが

多く見られます。(画像は私が仕立てたものですが)

当時は、化学繊維が発達していなかったこともあって、裏地は絹が主流でしたが、

絹は摩擦に弱いので、特に摩擦の激しい袖裏、ベストの裏、トラウザーズの腰裏、

の三ヶ所だけは、綿とレーヨンの混紡の生地が使われていたそうです。

ではなぜしま模様なのかというと、生地の経糸と緯糸の強度が違うため、

向きを間違えないようにしま模様にした、という話を私は何かしらで聞いたことがあります。

もしくはオシャレのためにつけたという説もあります。

1960年ごろからは、キュプラの登場によって、

裏地の素材を使い分けることはなくなっていったようです。

現代ではその名残か、袖裏がストライプのジャケットは度々見かけますね。

ただ私は、こういうデザインにどことなく「和」を感じていますがどうでしょうか?

いい塩梅に「和」を感じるスーツ、私は大好きです。


参考元:服部 晋の「仕立屋日記」